認知症のある人も人として生活の営みを継続しています。認知症のある人と、深くかかわることが求められる介護職。認知症ケアにおいては、できることやできないことという括りではなく、できることやわかること、できづらいことやわかりづらいことを知ることが大切です。そして、認知症のある利用者が感じている不快や不安を目の前の出来事だけで捉えるのではなく、さまざまな方向にアンテナを張り巡らせて考え、知識と介護技術を用いて適切にかかわることの大切さを学んでいくことが重要になります。
自分の目の前で起きていることには、何かしらの原因があるものです。そのことを認知症だからという決めつけだけで終わらせてしまうことは、かつて行われていた行動制限などのケアにつながってしまいます。認知症のある利用者の行動の原因を追究していくことが大切です。原因を追究していくと、介護職のかかわり方で不快や不安などを与えることが多くあることに気づくことができます。行動や心理症状が出てしまっていることに対応するのではなく、その原因を追究し対応していくことが重要です。認知症ケアにおいては、介護職が一生懸命に対応しているという、一方的なかかわり方は通用しないことがほとんどになります。一人ひとりに合った伝わるかかわり方があります。感じ方は人それぞれになりますが、不快や不安によりマイナスの影響につながるという点は共通していることが多いです。介護職のかかわり方により与えてしまっている不快や不安を少しでも軽減できるように介護技術を磨くことも大事です。